売り出し方の失敗談④
2022/12/01
≪昨日の続き≫
ひと月経っても、2か月経っても、売れません。
見込み客が現れる気配するありません。
ある日、郊外のその新築物件がある土地に販売営業と買取営業を兼ねて、
いろんな仲介会社に出向いたところ、
ひとつの仲介会社の担当者にこういうことを言われました。
「あれ最初から、ポータルサイトにでまくってましたけど、なんか作戦なんですか?」
と雑談のなかで普通のトーンでそう言われたのです。
売れていない、という流れがあった中で聞いてしまったその言葉なので、
ええと思ってやってたんやけど…、あれ?おれ、やってもうてる…?
内心、冷や汗をかきました。
それとは同時進行で、チームのメンバーが会社から近隣のエリアで新築用地を仕入れていて、
すでに建築確認が取れて、工務店との打ち合わせ、仕様なども決まった時期に来ていました。
別の新築の話です。
建築確認が取れると、販売を請け負う仲介会社は、広告掲載ができるようになるので、
このタイミングで、どう広告活動をしていくかを打ち合わせするのです。
会社の周辺なので、私でもだいたいの不動産的なマーケットはそのころでもわかっていました。
とにかく新築が出ては売れる。なので、買取業者も強気な価格で買う。
一般のお客さんもそれについてくる。
業者が高買いしても、一般の方がついてくる。
その循環で相場がどんどん上がっていっているようなエリアでした。
そんな彼とミーティングをする機会がありました。
彼はその前の仕事で、新築で5年ほどのキャリアを持っていましたので、
ありとあらゆることを知っていましたし、
細かな新築に関することをいつも彼に教えてもらっていました。
なので、ミーティングは、彼の提案をそのまま聞くような感じでした。
(一応、リーダーとしてそれっぽいことをいうことは職務上意識しました)
驚くことに、彼は、
・売主であるこちらの意向で、先方の専任業者はレインズには載せない
・ポータルサイト(SUUMO)のみの掲載
専任で任せるのだから、レインズには載せなければならないのではないか、と私がいうと、
専任ならそうだ、と。なので、実質専任なのだが、一般で媒介契約はまいた、とそういうのです。
なぜか、というと、「正直、業者として相場の上限で仕入れた」と。
だから、必然的に相場の上限で売らなければならない。
「そのためには物件を魅力的にみせなくてはならない」
そういうのです。
「物件を魅力的にみせなくてはならない」
この時に言われたこの言葉が、今の自分の不動産の広告戦略に対する根幹です。
そうした基本方針の上で、彼はリクルート社が運営するスーモのひと枠10万円/月するとも言われる
特別掲載枠で最初の数ヶ月載せるという合意を先方の仲介業者との間ですでに得ていました。
多区画物件でしたので、
それを販売窓口として預かれる専任業者(一般だが)としても十分に予算が出せた、というところなのでしょう。
(一般媒介にしたうえで/売主指定で)レインズには載せない、というのが、どういう効果があるのか、
と私が聞くと、スーモは一般向けだが、業者も見る。業者は今度レインズも見る。しかし、そこにない。
すると、その物件に対して敷居の高さを感じて、安易な値段の交渉をしてこなくなるのだといいます。
※付け加えると、先方の仲介業者は他社付けはOKにしていたように思います。
※スーモを見て、仲介業者が客付してくることもよくあります。
物件の敷居をあげて、値交渉を受け付けないスタンスを示すことで、
物件の価値をあげようとしたのです。より魅力的に見せようとしたのです。
強気なスタンスを見せることによって、
物件が魅力的に見えることがある、というのは、
大きな学びでした。
買い手と売り手の駆け引きはそういう広告戦略の部分から始まっているのか、
と私は驚いたと同時にとてつもない面白味を不動産という仕事に感じました。
≪明日に続く≫
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