賃貸借契約は一代限りが基本です!
2022/12/24
家を借りている人が、また別の人に家を貸す、
いわゆる「又貸し」をした場合、何かしらのトラブルが起こった時、
物件の所有者と入居者との間に第三者が入ることで、話がややこしくなります。
トラブルが起きた場合、
物件の所有者にとってリスクが高いため、原則禁止されています。
なので、契約書のひな形の条項に、
「この賃貸借契約はこの入居者一代限りとする」というような文言は入っています。
賃貸借契約は基本的に一代限りにおいて、です。
「又貸し」とは厳密にいうと微妙に異なるかもしれませんが、
怖さだけ伝わったらな、と思うので、前職の体験談を書きます。
前職では不動産の買取再販に加え、自社収益マンションの管理・契約業務もしていたのですが、
入社した当初に、先輩に注意を受けたことがあります。
私が、「入居者は一代限り」とするという契約書の文言を理解しないまま、
入居申込書を入れてきた賃貸仲介会社に、
「入居者は一代限り」とする文言を消す、という
安易な口約束をしてしまったからです。
仲介業者が入居申し込みを入れてきたのは、人材派遣会社でした。
社宅として使いたいとのことでした。
・賃貸人(家主)…私が勤めていた不動産会社
・賃借人(借主)…人材派遣会社(法人)
・入居者…人材派遣会社の従業員
という契約関係でした。
人材派遣会社は、従業員が入れ替わっても、
ずっとその社宅を使いたい、という説明をしてきて、
私は、安易に「大丈夫ですよ」と言ってしまったらしいのです。
早く空室を埋めたかったという担当者である私サイドの事情が大きかったです。
今でも夢にでてきます。
郵送で送られてきた契約書類一式をチェックしている
私の上司と、その先輩が私の方をちらちら見ながら、
何やら話し込んでいる光景を…。
そして、先輩に、「ちょっとこい」と別室に。
当然、詰められたわけではなく、私への配慮です。
静かな部屋に先輩と私。先輩は深刻な顔をしています。
「一代限り」という契約書の文言を消す、
という先方の仲介業者が作成した覚書が一枚置かれていました。
そして、
「生島君、これはまずい。なんで相談せんかったんや…」と。
続けて、
「これ、めちゃくちゃにされてまうで…」と。
その後、説明を受けました。
「又貸し」状態を招くような契約をしようとしていたこと。
その怖さ。
要は、人材派遣会社がどんなひとを雇用するかわからないのに、
ひとり入居者が退去しても、
延々と賃貸借契約が途切れることなく続いてしまうからです。
契約関係があるという前提で初めて家主が入居者に対して持てる力を、
又貸しの入居者に対して家主サイドが持てない恐れが生まれるということです。
恐ろしいですね。
具体的な一例ですが、
近隣にかなり迷惑をかける人物をその人材派遣会社が入居させたとしたら
やっかいだと思いませんか?
普通の賃借人だったら、まず注意して、改善されなければ、
法的な手続きを取れます。
また、それが威嚇になって迷惑行為を止めさせることもできるかもしれません。
しかし、「一代限り」がなく、
「又貸し」になってしまった入居者に対しては、
家主は、その人物と契約関係がないので、
退去を求める法的な手続きを取ることが困難なのです。
それを知っている入居者(又貸し)が家主の言うことなど何も聞かないという状況も
生まれるかもしれません。
もちろん、契約書は単純な一枚岩ではないですから、
賃貸借契約の別の条項で家主は争える可能性はあるのですが、
そもそもそんなリスクが発生しないように、
契約を交わしておくべきでしょう。
その時に重要なキーワードになってくるのが、
「一代限り」という文言です。
この文言が、「又貸し」から家主を法的に守ります。
部屋を貸すときは、全部を全部仲介業者に丸投げにしないで、
その部分には気をつけてください。
ちなみに、先述の件ですが、先輩が先方の仲介業者と交渉をして、
白紙になりました。
私にとっては忘れられない失敗エピソードです。
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